廃油の処理、どうしていますか?正しい方法を知って環境とルールを守ろう

廃油の処理、どうしていますか?正しい方法を知って環境とルールを守ろう

廃油の処理方法は、家庭と事業者で大きく異なります。適切な処理を行うには、種類ごとの違いや法的なルールを正しく理解することが欠かせません。

この記事では、家庭での廃油の捨て方から、事業系廃油のリサイクルや最終処分、サービス業者の選び方まで、実用的な視点で詳しく紹介します。

今の対応は本当に適切か、不安を感じた方はぜひ参考にしてください。

廃油の処分・回収に不安がある方は、「KNサービス」へご相談を。地域密着ならではの丁寧な対応でサポートします。

目次

そもそも廃油とは

黄色いバケツに保管された廃油の容器

調理や機械の運転などで使用されたあとの油は廃油と呼ばれ、家庭でも事業所でも頻繁に発生します。その種類によって処理方法や法的な扱いが異なるため、まずは基本的な分類を理解しておきましょう。

家庭系廃油

家庭での調理などを通じて発生する使用済みの油が、家庭系廃油です。主に一般家庭のキッチンから出るもので、私たちの日常生活で身近な廃油といえるでしょう。

家庭系廃油には、以下のようなものがあります。

  • 天ぷらや揚げ物に使った後の食用油
  • 炒め物などでフライパンに残った油
  • 消費期限が切れたり古くなったりした食用油

こうした廃油は、一度に排出される量は比較的少ないものの、日々の調理で少しずつ発生します。そのため、その都度の処理方法に迷ったり、正しい捨て方が分からず困りになったりする方も少なくありません。

そのまま流しに捨ててしまうと、排水管の詰まりや悪臭の原因になるだけでなく、水質汚染にもつながります。油は水と違って分解されにくく、下水処理場でも処理が難しいため、放置されると河川や海への悪影響が懸念されます。そのため、正しい知識と方法による処理が不可欠です。

事業系廃油

企業や店舗、工場といった事業活動に伴って排出される使用済みの油全般が、事業系廃油に分類されます。家庭から出る廃油とは異なり、その発生源や排出される油の種類・量が事業内容によって大きく異なり、取り扱いには専門的な知識や法的な手続きが求められます。

事業系廃油が発生する場所は、以下のようにさまざまです。

  • 飲食店やホテルなどの厨房
  • 各種製造工場(金属加工、機械製造など)
  • 自動車整備工場やガソリンスタンド
  • 印刷工場

そして、排出される廃油の種類もいくつかの種類があります。代表的なものは、以下に挙げた通りです。

廃油の種類具体例
動植物油飲食店のフライヤー油、食品工場から出る調理廃油など
鉱物油機械の潤滑油、作動油、エンジンオイル、ギアオイル、切削油、熱媒体油、絶縁油など
廃溶剤洗浄に使われる溶剤系の油(トリクレン、シンナーなど)

こうした油はそれぞれ性質が異なるため、種類に応じた適切な管理と処理が求められます。事業系廃油の処理においては、その多くが産業廃棄物として扱われ、廃棄物処理法に基づいた処理が義務付けられていることに注意が必要です。

廃油を排出した事業者(排出事業者)には、その廃油を最後まで適正に処理する「排出事業者責任」があります。もし無許可の業者に処理を委託したり、不法投棄をしたりすると、排出事業者自身も罰則の対象となりうることを知っておかなければなりません。

そのため、処理を委託する際は、必ず許可を持つ専門業者と正式な契約を結び、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を適切に運用することが求められます。

廃油はなぜ適切な処理が必要?

黒い油を手ですくう

あらためて、使い終わった廃油の処理はなぜ必要なのでしょうか。それは、廃油処理を怠ると、私たちの生活や環境に好ましくない影響が及んでしまうからです。

「家庭系廃油」の箇所でも少し説明したように、廃油をそのまま排水溝に流してしまうと、河川や海の水質を悪化させ、生態系のバランスを崩す一因になります。また、家庭の排水管や公共の下水道管を詰まらせ、修理が必要になるなど、生活インフラにも負担をかけてしまいます。

油は自然には分解されにくいため、一度環境に放出されると、その影響は長く続くことを忘れてはいけません。

また、油が染み込んだ布などが自然発火する火災のリスクもありますし、事業者の方にとっては、不適切な処理が法律違反となって罰則を受けたり、企業の社会的信用を損ねたりする事態にもなりえます。

こうしたさまざまなリスクを避けるためにも、廃油は少量であっても必ず正しい方法で処理することが必要なのです。

【家庭向け】廃油の処理方法

キッチンでフライパンの油をペットボトルに移す作業

キッチンで使ったあとの油をそのまま流してしまうと、排水管の詰まりや水質汚染につながります。安全かつ手軽に処理するためには、市販品や自治体サービスの活用など、正しい処理方法を知っておくことが必要です。

市販の凝固剤を使う

家庭で最も手軽にできる廃油処理方法のひとつが、市販の凝固剤を使う方法です。調理後に冷ました油へ凝固剤を入れると、短時間でゼリー状に固まり、そのまま可燃ごみとして捨てられます。

調理中に使用した油の温度が高いままだと、凝固剤がうまく作用しないことがあるため、油が人肌程度に冷めてから使用するのがポイントです。また、パッケージに記載された分量を守ることで、固まり残りも防げます。

この方法は、キッチンを汚さずに簡単に廃油処理ができる点がポイントです。揚げ物などで多めの油を使ったときでも、一定の量まで対応できるため、家庭では広く活用されています。

紙や布に吸わせる

少量の廃油であれば、紙や布に吸わせて処分する方法も有効です。使い終わった新聞紙やキッチンペーパー、不要になった布などを使えば、コストをかけずに対応できます。

油を吸わせた紙や布は、そのまま可燃ごみとして捨てることが可能です。炒め物などで出るわずかな油に適しており、凝固剤を使うまでもない際に重宝します。

ただし、吸収材が不足していたり、油が大量すぎたりすると処理がうまくいかないかもしれません。また、油が染み込んだ紙や布は、高温になる場所や火気の近くに長時間放置すると自然発火する危険性があるため、速やかに処分することが大切です。

自治体の回収サービスを使う

自治体によっては、家庭から出た使用済みの食用油を回収するサービスを実施しています。回収された油は、バイオディーゼル燃料などに再利用され、環境負荷の軽減に寄与します。

自治体による回収方法はさまざまで、公共施設(市役所、公民館など)や協力店舗(スーパーマーケット、ガソリンスタンドなど)に設置された回収ボックスへ持ち込む形が一般的です。

まずお住まいの自治体の公式サイトや広報誌で、回収の有無、対象となる油の種類、回収場所や日時、持ち込む際の容器の指定(ペットボトルなど)といったルールを確認しましょう。

関西地域では大阪府が廃食用油の回収に積極的で、ほぼ全域で回収サービスが提供されています。

自治体によって廃油の回収ルールは異なります。神戸市が実施している廃油の回収・処分方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

✅️ 合わせて読みたい神戸市で廃油を処分するには?家庭の食用油から事業所の工業廃油まで解説

水や土に流さないように注意する

廃油をそのままシンクに流すと、排水管の詰まりや悪臭の原因になるだけでなく、下水処理場でも処理しきれず、環境に悪影響を与えるおそれがあります。

油は水に溶けず、冷えると固まって配管の内部にこびりつく性質があるのです。油がこびりつくと排水の流れが悪くなったり、清掃に余計な手間がかかることになりかねません。土に流した場合も、土壌や地下水に悪影響を及ぼします。

目に見えにくい問題だからこそ、日々の小さな配慮が大切です。水や土への直接排出を避けることは、家庭からできる環境保全の第一歩であり、次世代にもつながる意識の表れといえるでしょう。

【事業者向け】廃油の処理方法

色とりどりの使用済みオイルドラム缶が積み重なる様子

事業活動で排出される廃油は、種類や量に応じて産業廃棄物として扱われ、専門業者による回収や処理が必要です。リサイクルの活用から最終処分まで、法令に沿った対応が企業に求められます。

リサイクル

事業者から排出される廃油のうち、再利用が可能なものはリサイクル処理が行われます。代表的な例としては、廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料への転換が挙げられ、運送業や農業機械の燃料として活用されています。

また、鉱物性の廃油についても、適切に処理することで再生重油や潤滑油の原料として利用可能です。回収から再資源化までの流れを担う専門業者と提携することで、効率的な循環型処理が実現します。

リサイクル処理は、環境保全に貢献するだけでなく、企業のCSR活動やSDGsへの取り組みとしても評価される傾向にあります。持続可能な社会の一員として、リサイクルの選択は事業者にとって重要な判断です。

最終処分

リサイクルが難しい廃油や、汚染や混合により再利用できないものは、最終処分の対象となります。最終処分には、焼却や埋立といった方法があり、廃油の性質に応じた処理が選ばれます。

可燃性の高い廃油は焼却処分され、廃油専用の焼却施設で高温処理されます。焼却時にはダイオキシンなど有害物質の排出対策も講じられており、環境への配慮が欠かせません。

事業者は、最終処分に至るまでの保管・運搬・処理において、法律に則った対応が求められます。信頼できる許可業者の選定と、マニフェストによる処理記録の管理が、法令遵守と企業責任の基本です。

事業所からは廃油だけでなく、木くずやコンクリートなどのさまざまな廃材も排出されます。廃材の処分方法についてお困りなら、こちらの記事もご覧ください。

✅️ 合わせて読みたい廃材処分に困ったら?処分方法・費用相場・優良業者の選び方

廃油の種類別 処理のポイント

ドラム缶に溜まった廃油のヘドロ

廃油には、動植物性の油、鉱物性の潤滑油、洗浄用の溶剤など複数の種類があります。それぞれ性質が異なるため、火災リスクや法的制限を踏まえた処理方法を知っておきましょう。

動植物性油(飲食店などの廃食用油)

動植物性油は、主に揚げ物や炒め物に使われた食用油が該当します。飲食店や給食施設などから日常的に多く排出されています。

家庭では凝固剤や新聞紙での処理も可能ですが、事業所の場合は産業廃棄物として扱うことが必要です。許可を受けた業者による回収と、マニフェスト管理の徹底が基本となります。

多くのケースで動植物性油は再資源化され、バイオディーゼル燃料などに利用されています。

鉱物性油(工場などの潤滑油、エンジンオイルなど)

鉱物性油は、潤滑油やエンジンオイルなど、機械の稼働に伴って使用される油を指します。主に工場や整備工場などの現場で発生し、環境への影響が大きいため厳格な取り扱いが必要です。

この種の廃油は発火性や毒性を含む場合もあり、保管や運搬には十分な注意が求められます。油専用の容器に保管し、漏洩や混入を防ぐ体制を整えなければなりません。

産業廃棄物としての処理が原則であり、処理先の業者が対応可能かどうかの確認が前提となります。安全性と法令順守の両立が求められるため、専門性の高い業者との連携を検討しましょう。

エンジンオイルは特に処分方法に悩む方が多いかもしれません。ガソリンスタンドでの引き取りや処理ボックスの利用など、具体的な捨て方については以下の記事で詳しく解説しています。

✅️ 合わせて読みたいエンジンオイルの正しい捨て方とは?ガソリンスタンドから廃油回収業者まで徹底比較

廃溶剤(洗浄シンナー、トリクレンなど)

廃溶剤とは、金属部品や印刷機の洗浄などに使われるシンナーやトリクレンなどの揮発性有機化合物の使用済みを指します。廃油の中でも危険性が高い部類に入ります。

多くは有害物質を含み、引火性・揮発性が強いため、密閉容器での保管や火気厳禁の措置が必要です。また、他の廃油とは分けて保管し、混合による化学反応を避けなければなりません。

処理には特別管理産業廃棄物の許可を持つ業者が必要となるケースもあります。処理手段の選定を誤ると法令違反に直結するため、廃溶剤の扱いには慎重な対応が求められます。

廃油処理サービスの選び方

黒い廃油を流し出すドラム缶

廃油処理を外部業者に依頼する際は、処理の許可を持っているかどうかに加え、実績・対応可能な油の種類・費用の内訳など、複数の観点から比較検討してください。以下に、選び方のポイントをまとめています。

許可の有無

廃油処理を業者に委託する際は、産業廃棄物収集運搬業や処分業の許可を取得しているかどうかを必ず確認してください。無許可業者に依頼すると、排出事業者自身も責任を問われてしまいます。

許可番号は、業者のホームページや契約書類で確認でき、多くの信頼できる業者は実績とともに公開しているはずです。許可の有無は、業者の法令遵守意識を示す重要な指標でもあります。

不適切な処理が行われると、環境への悪影響にとどまらず、企業の信用失墜になってしまいます。安心して任せられるかどうかを見極めるうえで、まず最初にチェックすべきポイントです。

処理実績と信頼性

業者を選ぶ際には、これまでの処理実績や企業からの信頼度も大切な判断材料となります。長年の運用経験があるかや、大手企業との取引があるかが、ひとつの目安になるでしょう。

ホームページに掲載された実績例や、第三者評価、導入事例の紹介があるとより安心できます。また、電話や現地での対応が丁寧かどうかも、信頼性を測るポイントとなります。

信頼できる業者であれば、処理内容の説明も明確で、トラブル時の対応も迅速です。初めて委託する場合は、見積もり時や問い合わせの段階での印象を大切にすると良いでしょう。

対応可能な廃油の種類と量

廃油には、前述のように食用油や機械油、溶剤系などさまざまな種類があり、業者ごとに処理できる範囲が異なります。処理対象となる油の種類が業者のサービス範囲に含まれているか確認しておきましょう。

例えば、動植物性の油だけでなく、鉱物性や特別管理産業廃棄物に該当する油も取り扱えるかどうかは、ひとつの判断基準になります。種類ごとの処理フローも業者によって異なります。

また、処理可能な量にも上限があるケースがあるため、継続的な排出を見越した対応力があるかもポイントです。

料金体系の透明性

廃油処理にかかる料金は、処理の種類や量、運搬距離などによって異なります。契約前に見積もり内容が明確に提示されるかどうか、費用の内訳が分かりやすいかを確認してください。

「基本料金のほかに追加費用が発生するのか」「契約期間や回収頻度による料金変動はあるか」など、細かな点まで事前に聞いておけば、後々のトラブルを防げます。

料金の安さだけで業者を選ぶと、処理内容が不透明であったり、法的に不備があったりするケースもあるため、注意してください。

まとめ

「たかが廃油」と、その処理をつい後回しにしていませんか? 家庭から出る少量の油も、事業所で日々発生する大量の廃油も、扱い方を間違えれば環境や安全にまで影響を及ぼします。種類ごとに異なる注意点をしっかり理解し、正しい方法で処理することが、未来への責任を果たす第一歩です。

事業者の方にとっては、廃油処理は法令遵守だけでなく、企業価値を守るための取り組みそのものです。信頼できる処理業者を選ぶ際には、許可の有無はもちろん、実績や対応力、料金の透明性まで慎重に見極める必要があります。

「知らなかった」では済まされないからこそ、確かな情報で賢い選択をしましょう。日々の適切な判断と行動が、クリーンな環境と信頼関係の土台となります。

もし廃油の処分・回収でお困りなら、地域に根ざした対応を行うKNサービスにご相談ください。身近な頼れるパートナーとして、お力になれるはずです。

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